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むひょーお


by end-and-end

阪急ブレーブス

現在、寺山修司の映画を自宅で垂れ流し中。何時見てもすんばらしい。体を空気入れで膨らます女とか、川を流れるお雛様とか。素晴らしい映像美学。映像綺麗とかいわれてた「さくらん」とかこれに比べればトイレに詰まったトイレットペーパーレベル。しかし凄いな寺山修司の「田園に死す」。たとえ汽車に乗って何処に行こうが、故郷、そしてその故郷の象徴たる母親の呪縛から逃れることのできない自分を見事に描ききってる。

映画といえば、この間「火垂るの墓」やってましたね。あれは作者の半実話だからリアル。作者は戦災孤児で妹を死なせているんだったな。

で、いつも思うのはあの映画見て「あの兄妹が可哀想」って言ってる人をイマイチ理解できないということ。あの兄妹は長い不幸よりも短い幸せをとりましたってお話だと思うんですよね。

あの兄妹は、親戚の家でひどい扱いを受けて飛び出していくわけで、でも親戚の家に意地でも居続ける選択肢もあったはず。その方が二人ぼっちで生きてくよりは、生き延びる可能性も高い。でもそれは結局「ゆっくりと死んでいく」という選択肢。本当の意味での「生きる」ではない。そして結局兄妹はふたりぼっちを選ぶ。で、肉体的に死んでいったわけですが、それでも幸せだったと思うのです、短い間でも二人は本当の意味で「生きる」ことができたのですから。

この映画で可哀想と思うことは、肉体的な「生」と精神的な「生」を両立できない人間の世の中そのものかなと。つまり何が言いたいかというと、働きたくない、好きなことだけやりたい。ということなわけです。世界中がニートなのが理想郷。
by end-and-end | 2007-09-27 01:02